「土踏まずの奥のほうがズーンと痛む」「親指の付け根あたりが押すと痛い」「歩き出すときに足の裏がつっぱる感じがする」。
こうした足裏の痛みというと足底腱膜炎(そくていけんまくえん)を思い浮かべる方が多いのですが、実はもうひとつ、見落とされがちな原因があります。それが「長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)」という筋肉です。
今回は、この長母趾屈筋と足裏の痛みの関係について、できるだけわかりやすくお話しします。
長母趾屈筋ってどんな筋肉?
長母趾屈筋は、ふくらはぎの奥深く、骨と骨の間あたりから始まり、内くるぶしの下を通って足の裏を走り、足の親指(母趾)の先まで伸びている筋肉です。
名前のとおり、親指を曲げる働きを持っていて、歩くときに地面を蹴り出す最後のひと押しで大きな役割を果たしています。
普段はあまり意識することのない筋肉ですが、足の裏の深いところを通っているぶん、ここが硬くなると足裏の痛みとして表面化しやすいという特徴があります。
なぜ足裏の痛みにつながるの?
長母趾屈筋が緊張して硬くなると、親指の付け根や第一中足骨(親指の骨の付け根の部分)のあたり、そして土踏まずの奥に、ズーンとした痛みや違和感が出やすくなります。場合によっては、足の裏全体に痛みが広がって感じられることもあります。
ちょうど足底腱膜炎と似たような場所に症状が出るため、「足底腱膜炎だと思っていたら、実は長母趾屈筋の緊張が関係していた」というケースも少なくありません。この筋肉は足の裏を縦断するように走っているので、足底腱膜と重なるように負担がかかりやすいんですね。
どうして長母趾屈筋が硬くなってしまうの?
砂浜や凸凹のある道など、不安定な地面を歩く機会が多い方。
ハイヒールや靴底の硬い靴を長時間履いている方。
バレエやランニングなど、つま先で地面を蹴る動作を繰り返すスポーツをしている方。
足首の動きが硬くなっている方。
こうした要因が積み重なることで、長母趾屈筋に負担がかかり続け、緊張がほぐれにくくなっていきます。
こんな症状に心当たりはありませんか
親指を曲げようとすると足の裏や足首の内側あたりに痛みが出る。
親指の付け根を押すと痛い。
土踏まずの奥のほうにズーンとした重い痛みがある。
歩き出すときや地面を蹴り出すときに足の裏がつっぱる感じがする。
長時間歩いたりハイヒールを履いたりした日は特に足裏がだるい。
こうした症状は、長母趾屈筋の緊張が関係しているサインかもしれません。
足底腱膜炎とはどう違うの?
足底腱膜炎は、かかとに近い部分の腱膜そのものが炎症を起こしている状態で、朝起きて最初の一歩で強い痛みが出やすいのが特徴です。一方、長母趾屈筋によるものは、親指の動きや蹴り出しの動作と痛みが連動しやすく、痛みの中心が親指の付け根寄りになることが多いという違いがあります。
とはいえ、実際には両方が同時に関わっているケースも珍しくありません。足裏のどのあたりが、どんな動きで痛むのかを丁寧に確認することが、原因を見極めるうえで大切になります。
当院でのアプローチ
長母趾屈筋の緊張が関係していると考えられる足裏の痛みに対して、当院では次のようなケアを組み合わせています。
ふくらはぎの奥深くにある長母趾屈筋そのものに、鍼灸でアプローチします。表面からは届きにくい深部の筋肉にも作用しやすく、緊張をゆるめながら血の巡りを促していきます。
気になる部分には超音波療法も取り入れています。1秒間に100万〜300万回という細かい振動を深部まで届けることで、手技だけでは届きにくい部分の緊張や炎症の回復にもアプローチしやすくなります。
あわせて、足首の動きや歩き方のクセ、靴の状態にも目を向けながら、足裏に負担がかかりにくい状態を目指していきます。
まとめ
足の裏の痛みというと足底腱膜炎がまず思い浮かびますが、親指の付け根や土踏まずの奥に痛みがある場合、長母趾屈筋の緊張が関係していることがあります。
原因によってアプローチの仕方も変わってくるため、気になる痛みが続く場合は、一度状態を確認させてください。
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※この記事は一般的な情報としてまとめたものであり、医学的な診断を行うものではありません。痛みが強い場合や長引く場合は、医療機関や専門家にご相談ください。
